小岩医院の日記

東京都江戸川区東小岩で内科医(専門は循環器)をしています。日頃どのような事を考えながら診療を行っているかを書いていけたらいいなと思っています。

有名人と病気 「小渕恵三 元総理大臣」

「心房細動」を患者さんに説明する上で、一番最初に例として挙げています。
2000年に心房細動を原因とした脳梗塞により亡くなられました。

f:id:koiwaiin:20190812211633j:plain
当時はまだ心房細動が脳梗塞の原因になるという事実が、世間にあまり浸透していなかったように思います。
現在ではかなり普及していて何種類もある血液をサラサラにする薬が、当時はまだワーファリンという納豆禁止の薬しかありませんでした。
その影響か、今でも「循環器の薬=納豆禁止」と思っている方は少なくありません。

 

心房細動が原因の脳梗塞の死亡率は10%未満と言われており、それほど高いわけではありませんが、それでも通常の脳梗塞の3倍程度と言われています。

心房細動合併の脳梗塞は、梗塞の規模が大きいためです。

死亡に至らなかったとしても、重度の後遺症を残してしまう可能性も高いです。

 

「血液をサラサラにする」、「脈拍数をコントロールする」などのいくつかの項目をクリアすれば、不整脈が無い方々と同等の生命予後になると言われています。

 

「癌」と言われて放っておく人は少ないですが、「不整脈」くらいだと油断してしまう方はいまだに多いです。

 

健診や日々の診察で「不整脈」を指摘されたら、循環器専門の医師に相談して頂けると幸いです。