小岩医院の日記

東京都江戸川区東小岩で内科医(専門は循環器)をしています。日頃どのような事を考えながら診療を行っているかを書いていけたらいいなと思っています。

医師が受けたくない・受ける必要がないと思う検査とは?

女性セブンで「医師が受けたくない・受ける必要がない検査」を特集していました。
こういった特集は実際の考えと解離が見られる事が多いですが、これはなかなかリアルな考えだなと思いました。

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1位は「腫瘍マーカー」と「バリウム検査」でした。
腫瘍マーカー前立腺癌を調べるPSA以外は、健診で調べてもほとんど無意味であるからだと思います。癌がある事が判明している時に進行具合を評価するために用いるため、気軽に検査をしてもあまり意味がありません。
もちろんそれをきっかけに癌が見つかる事もあるため、全くの無駄というわけではありません。
たまたま見つかる事もあるため、健診でよく用いられているのだと思います。
しかし費用対効果が悪いため、個人的にはPSA以外はお勧めしません。
 
同率1位のバリウム検査が人気がないのもよく分かります。
実際同僚の消化器科の医師も、あれはやる意味がない。と言っていました。
バリウム検査で異常が見つかった場合に内視鏡検査をするのであれば、最初から内視鏡をすればいいという話です。
バリウム検査が本当に簡単な検査なのであれば、受ける意味も分かりますが、準備や費用もかかるので、それを飛ばして内視鏡検査をした方が良いと思います。
 
3位に入っている「大腸内視鏡検査」も不人気になってしまうのも仕方がありません。
おそらく検査が楽に終わるかどうかが医師の腕によって左右されるからだと思います。
自分はまだやったことはありませんが、本当に必要になった場合は、どこで検査を受けるかという事もよりも、誰にやってもらうかという事を考えてしまいます。
またお尻の穴を誰かに見せるという恥ずかしさを考えると、よほど必要に迫られないと受けたくないと思ってしまいます。
 
医療の現場では数多くの検査が存在します。
その中には「それ本当に必要なの?」と思う検査も多いです。
利益のために不要な検査が含まれている事はしばしばあります。
なぜその検査が必要なのかをしっかり聞いて納得して検査を受けて頂きたいです。