小岩医院の日記

東京都江戸川区東小岩で内科医(専門は循環器)をしています。日頃どのような事を考えながら診療を行っているかを書いていけたらいいなと思っています。

有意義な検査を受けましょう!

様々な病気があるように、検査も色々なものがあります。

そのためどの検査をどのように受ければいいか分からない方が多いと思います。

例えば胃癌や大腸癌かどうかをハッキリさせたければ、血液検査やCTを何度もやるより、胃カメラや大腸カメラをやった方が確実です。

確かに侵襲的な検査を行う前に、比較的負担の少ない検査で評価する事は大事かもしれません。

なので、一気に核心に迫る検査を行うかどうかは担当医の手腕にゆだねられます。

 

 癌や循環器の病気の検査は日々進歩しています。

その中で循環器疾患の、特に狭心症心筋梗塞の評価をする上で、非常に有益な検査は「心臓CT(冠動脈CT)」と「心筋負荷シンチ」です。

①心臓CT

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胸や腹のCTを撮るのと同じ感覚で心臓の血管を描出する事ができる検査です。

上の写真は大雑把な情報しかありませんが、実はもっと細かく見る事が出来ます。

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CTさえやってしまえば、かなりの確率で白黒はっきりするので、非常に有意義な検査と言えます。

しかし比較的手軽な検査で、ちょっとだけ悪い所も見つかってしまうため、いたずらに心配事を増やしてしまう事もあります。

ちなみにこの心臓CTは、いつでもどこでも出来るわけではありません。

江戸川区在住の方であれば、

①江戸川病院(江戸川区

千葉西総合病院松戸市

③東京ベイ・浦安市川医療センター(浦安市

あたりをお勧めします。

その他の病院でも出来ますが、もし治療が必要になった場合を考慮するとこうなります。

自分は現在②の千葉西総合病院の循環器部長として勤務しています。

 

②心筋シンチ

心臓CTは万能な検査ではありません。

すでに狭心症の治療(カテーテル治療)をしていたり、血管の石灰化が著しい方は、心臓CTを撮っても上手く撮影できません。

ステントや石灰化周辺が白く光ってしまい、大事な所がうまく見えません。

そんな時に力を発揮してくれるのが、「心筋シンチ」というものです。

体に無害な放射性物質が心臓の元気な所に集まり、それを撮影します。

心臓の血流が悪い所には集まりません。

つまり心臓のどこら辺が血流が悪いかが分かります。

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心臓を丸で表現し、下の方が黒く抜けているのが分かるでしょうか?

そこが心臓の血流が悪い場所です。

この所見が見られると、ほぼ間違いなく狭心症であり、カテーテル検査や治療へと続いていきます。

逆にこの検査で異常が見られなければ、多少怪しい病変があったとしても経過観察になり、1年後再検査という流れになる事が多いです。

また術後の再発チェックにも使い勝手の良い検査です。

江戸川区在住であれば、

①江戸川病院

千葉西総合病院

をお勧めします。

この検査も他にも出来る場所はありますが、それらはどれも「薬剤負荷」と言って、

薬で心臓に負担をかけるというものです。値段が高い検査の割には精度が低く、やはり地味ではありますが「運動負荷」をするべきです。

運動負荷は、ランニングマシンの上で数分早歩きをしてもらい、かなり疲れてもらった(心臓にかなりの負担を掛けた)状態で検査を行います。

「薬剤負荷」は医師の診察が不要のため簡単に検査が出来ますが、「運動負荷」は医師同伴で行い、事前の診察も必ずあります。裏を返せば、それだけ精度が高いという事です。

どちらの病院も受診した当日にその検査を受ける事は出来ず、予約を取って後日行います。またかかりつけでなければ紹介状も必要です。

 

こういった診断や状態評価に非常に有意義な検査をうまく使い、安心した生活を送ってもらいたいです。