小岩医院の日記

東京都江戸川区東小岩で内科医(専門は循環器)をしています。日頃どのような事を考えながら診療を行っているかを書いていけたらいいなと思っています。

5月あたりから流行り始める感染症、アデノウイルス

ゴールデンウイークが終わり、インフルエンザの流行も終わり、いよいよ夏が近づいてきている様な天気です。

季節の変わり目と言えば、風邪が流行る時期です。
この時期に注意が必要なのが、アデノウイルスによる咽頭結膜炎(プール熱)です。

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①38度を超える発熱(40度近くになる事も)
②喉の痛み
③目の充血
の3つが特徴の感染症ですが、注目すべきはその感染力です。
保育園や幼稚園で一人発症すれば、数日後にはそのクラスが全滅する事も多々あります。(潜伏期間5~7日)
もちろんその親にも感染する事はあります。
感染経路は飛沫感染接触感染です。

小さな子供(乳幼児)は喉が痛いという事を表現できないので、熱しかないと思いがちですが、実は喉が痛くてご飯が食べられなくなったりします。

検査はインフルエンザの時と同じ様に、喉、鼻水、目やにのどれかを綿棒で拭って迅速検査を行います。

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多くの病院・クリニックでは、まずはインフルエンザの検査を行い、陰性が出たら、アデノウイルスのチェックを行っていると思います。

場合によっては同時に行う事もあります。


アデノウイルスの診断が出ても特別な治療はなく対症療法だけですが、登校登園が禁止になります。
そして症状改善後の2日後から解禁となります。

 

注)アデノウイルスに対する特別な治療がないため、アデノウイルスの検査は行わないクリニックも多いと思います。

 

注2)乳幼児は喉が痛くて食事や水分を嫌がります。そのため薬も飲んでくれません。そんな時のために坐薬を何個か持っていると非常に助かります。最近使ってないからと油断していると痛み目を見ます。坐薬が効いて熱が下がって痛みが軽減すると、ゼリーやヨーグルト、グミなどのお菓子を食べてくれるようになったりします。

 

その心房細動、そのままにしていて本当に良いのでしょか?? もしかしたら治るかもしれませんよ。

心房細動のコントロールについては色々な考えがあって、担当する医師によっても方針は様々です。

2002年にAFFIRM試験というものが発表された事で流れが変わりました。
心房細動をそのままにして脈拍のコントロールを行った場合(レートコントロール)と心房細動を元の脈(洞調律)に戻す治療を行った場合(リズムコントロール)の予後が変わらないというものです。

そのため外来で心房細動の患者さんが来ても、無理に治そうとしないのが一般的になりました。

でも果たして本当にそれでいいのでしょうか?

自分が心房細動になったら、やっぱり治してもらいたいです。もちろん治るものならば、です。

 

以下の写真は自分が担当している患者さんの一例です。
2016年から2018年まで別の先生に診てもらっていた方で、わけあって2018年7月から自分が診ている方は、発症時期不明の心房細動でした。

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もしかしたら治るかもしれないと思い、薬を変更して勝負に出たところ、2018年10月には元の脈(洞調律)に戻り、現在も洞調律を維持しています。

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元に戻るかもしれない、戻した方がいいと判断した理由はいくつかあります。

①心房細動の影響で心機能の低下が見られていた事

②心エコーで左房の拡大があまり見られていなかった事

③まだ洞調律化を一度も試していない事

などが考えられます。

 

使用した薬は、ベプリコール 50mg錠を朝夕1錠ずつ、アミオダロン 100mg錠を朝1錠です。

最初はアミオダロンだけで治そうかと思いましたが、それだけでは治る気配がなく、ベプリコールを開始したところ、その1か月後に洞調律に戻りました。


それに伴い血液検査も良くなっています。

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BNPというのは心不全の状態を評価するマーカーです。

慢性心房細動の方だと、200前後でコントロールされているのが良好と考えられています。

そういう意味ではこの患者さんのBNPコントロールは良好だったと言えます。

そのため無理に洞調律へ戻しに行かなくても良かったとも考えられます。

とは言え、洞調律へ戻る事でBNPがより低値になっている事を考えると、洞調律に戻った事は患者さんにとっては良かった事だと思います。

 

こういった例を見ると、最初からレートコントロールを行うよりも、治る可能性があると判断した場合はリズムコントロールを試みた方が患者さんの為になると思います。

 

心房細動でお悩みの方がいましたら、一度ご相談下さい。

 

 

koiwaiin.hatenablog.com

 

寝たきりの原因の第一位は脳卒中!!

日本人の死因第4位になっている脳卒中
程度は様々で、ほとんど症状がないものから麻痺や認知機能に影響を及ぼすようなものまであります。
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働き盛りの時に脳梗塞を発症し、家族の介護を受けながら生活を送っている方も大勢います。
もちろん完全に予防する事は難しいですが、脳梗塞発症のリスクを下げる事は可能です。
脳卒中予防10か条の①~⑦に関しては、地元の開業医でしっかりケアする事が出来ます。
大きな病院まで行く必要もありません。

 

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脳梗塞、おそらく医師が最もなりたくない病気と言っても過言ではありません。

まずは当院、もしくはお近くのクリニックでご相談下さい。
きっと力になれる事があると思います。

花粉症にケナコルトはあり?? 

花粉の量はだいぶ落ち着いてきましたが、まだまだ花粉症の症状は続いています。
そこで今回ケナコルトという薬を紹介します。
1回筋肉注射すると、1か月間花粉症の症状をかなり緩和してくれます。
しかしネットで検索すると、まるで悪魔の薬の様な扱いを受けているかわいそうな薬です。
「当院では頼まれても絶対に打ちません」みたいな事を書いているクリニックも多数見かけます。

でも本当にそんなに悪い薬なのでしょうか?

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確かにステロイドを長時間効かせるために、それなりの量を筋肉注射します。
そのため様々な副作用に注意が必要です。

副作用は挙げたらキリがありません。代表的なものは下の通りです。

感染症や副腎機能不全

②皮下注射箇所の筋肉の萎縮・陥没

③糖尿病の悪化

精神障害(うつ病)、全身倦怠感(リバウンド現象)

骨粗鬆症

⑥生理不順

満月様顔貌、顔面紅斑

 

しかし大事なのは薬の使い方です。
適切な人に、適切な量、適切な頻度で打てば、心配しすぎる必要はありません。
私自身も去年は花粉症(目が痒くて鼻水が止まらない)に苦しみ、注射を打って1か月間とても楽に過ごしましたが、今年はそれほど辛くなかったので打っていません。
職場の同僚・患者さんにも使用しましたが、非常に高評価で現状副作用は確認されていません。

まずはご相談下さい。
当院では問題なく使用できると判断した場合のみ、注射を行っています。

心臓の調子、悪くないですか?もしかしたら心不全かもしれません。

心臓の調子が悪いと出てくる症状は様々ですが、代表的なものが疲れやすさ、息切れ、動悸です。これらは心不全の代表的な症状です。 

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これらは比較的簡単な検査で原因をある程度特定する事が可能です。
原因が分かれば、それから治療方針を決めて、日々どういった事に注意して、日々の検査ではどこに注目すればいいかをはっきりさせる事が出来ます。
そうする事で病気への不安を減らし、日々の生活を穏やかに過ごす事が出来るようになると思います。

年齢や疲労、自律神経の乱れが原因ではないかもしれません。
まずはお気軽にご相談下さい。

いきなり大きな病院へ行って何時間も待つくらいなら、まずは近くのクリニックへ行って、ある程度状態を評価してから大きな病院へ行く方が効率的です。

もしかしたら大きな総合病院へ行く必要すらないかもしれません。

また病院によってそれぞれ得意分野が異なります。

ただ大きな病院へ行けば大丈夫というわけではありません。

開業医はどこの病院へいくべきかの道標にもなります。

まずは近くのクリニックに相談するところから始めてみませんか?